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序章
今宵は満月の夜。
冬も近づいた晩秋の雲一つない晴れた夜空。
月も星も、まるで競いあっているかの様に、異様に光輝き、今にもこの地上に降ってきてしまいそうだ。
地上を見れば、満月が放つ蒼白き光が、地上を覆い尽くし、昼間の雑踏は消え、シン!と、静まり返っている。
今の地上は、蒼白き光と静寂だけが支配していた。
蒼白き光で満たされた、地上はまるで別世界のようだ。
動くものが何ひとつなく、何者かが作製中の街で、これから動くものを置いていくのだろうか。
満月が天頂に近づくにつれ、空気は澄み、ピン! と張り詰めていく。
何かが起こる前触れかのように。
そして、満月が、天頂に到達すると、光は一番光度を増し、地上も月世界へとかえていく。
その光は、ある家の天窓を通して部屋の中へ、差し込んだ。
部屋の中には、フラスコ、ビーカー等のものが置いてあり、その中の一つに木の皮の上に藻の様なものがついている、ものがあった。
その藻の様なものに光が当たると、光始めた。
光は段々強くなり、部屋中を蒼白く染めた。
満月が沈み初めると、光は当たらなくなり、光は徐々に弱くなりやがて消えた。
もとの普通の夜に戻った。
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