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楽しみ
西の空はまだ明るく、夜の帳が降りようとしていた頃。私は何時ものように街の中を歩いていた。
街の中はキラキラと輝き、昼間のように明るかった。でも、
空を見上げればビルとビルの間から見える空は、星も何も見えない暗い空。とりも、黒い壁に見える。
私には空が切り取られて無くなってしまったかのようにも見える。
何だか私の心境にも似ている。街中と同じく見た目には元気に見えるけど、見上げた夜空と同じく、心の中は暗く闇の中に居るみたいだ。その心の闇は決して消える事はない。ずっと死ぬまでこの気持ちを持ち続けると想う。
ああ嫌だ、こんな事を考えるなんて。気持ちが暗くなっちゃう。今の私には似合わない。でも、想ってしまう時もある。
私は街中を抜け、丘の上にある公園へと向かった。そこは今の私にとって一番のお気に入りの場所。
そこまで行くともう街の灯りは見えない。そこは満天に広がる星々の世界だ。
私は公園の芝生に仰向けに寝て、夜空を見上げろのが一番好きだ。何故なら、そうやって見る夜空はまるで自分が宇宙空間にでも居るような錯覚を起こしてしまいそうなくらい、月や星がまじかに感じられる。
まるで自分が宇宙空間を漂って宇宙遊泳をしているかのようだ。
私は暫くじっと夜空を、星々を、眺めていた。そして、心を宇宙へ飛ばしていた。行ったことのない、まだ見ぬ宇宙へ。実際に行くのは無理だけど、そうやっていることで私の心は自由になれる。唯一心がやすらぐばしょ。
夜風が頬をなでる。
「気持ち良い。でもちょと寒いかな。長くいると風邪ひいちゃう」
今は十月、長い時間いると身体が冷えきってしまう。
「さてと、帰るかな」
私は身体を起こし、公園をあとにした
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