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ばあちゃんの虹
ばあちゃんは103歳まで生きた。
若くして夫を亡くし、小学校の用務員をしながら三人の子供を育て上げた。
南海地震があり、戦争があった。
生きた。
貧乏で食べるものがなかった。
生きた。
負けず嫌い。
弱い者の味方。
せかせかと働く。
よく食べる。
よく笑う。
正直者のようで、こずるいところがある。
もったいない、が口癖。
孫11人、ひ孫14人に恵まれた。
銀行で年金を下ろしては、せっせと孫に小遣いを与えていた。
そんな晩年は幸せだったろう。
しかし孤独でもあった。
百年も生きれば、親友や友達、知り合いのほとんどが他界してしまう。
心の底から語り合える人、褒めてくれる人、愚痴を言い合える人がいない。
それは孤独だ。
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