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剣辰屋に着いた。
一体、どんなやつが待ってるんだろう。
一番端のテーブルに、全身真っ黒のスーツに包まれた男がコーヒーを飲みながら時計を気にしている。あの男か?
「あ、あのぅ……」
「隅田様ですか?」
ゆっくりとした低い声。まさに昨日の人だ。
「はい、本日はよろしくお願いします」
「ま、座ってください」
「はい」
「それでは、こちらの契約書にサインいただけますか?」
「はい」
「ありがとうございます。それでは、今から、あちらの背の高い若い方を閉店まで見張っていてください。よろしくお願いします」
「はい」
「それでは」
「えっ……ちょっと。それだけですか?」
「えぇ。それだけです。では」
「は、はぁ」
まぁ……見張っとくだけだし。
怪しまれないよう、ちらちらと見張った。
でも……何も起きないなぁ。
その後も何も起こらず、その日の仕事は終わった。
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