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「じゃあタイプは?」
「なんでそんなこと聞くの?」
唐揚げを頬張りながら白井が真杜を睨む。
「別に。聞いたことねぇなぁと思って。あと、うのちゃんが気にしてたから」
真杜相手では話さないことも雫相手なら話す。それは逆もまた然りで、真杜はこの話は自分だけが聞きたいのではなく、雫の本意なのだと白井に示すことによってガードをさげさせようとしている。もちろん、雫が気にしていたというのは嘘だ。
「しーちゃんが?」
「そう。なんで白井には恋人いないのかな? って」
中島真杜が侮れない男だということは、長い付き合いでよくわかっている。
(嘘つきめ!)
恋愛事に疎く、現在自分のことでいっぱいいっぱいな雫が、親友の恋愛事情を気にする余裕などあるはずがなく、そんなことは真杜が一番よく知っているはずだ。
敢えて雫の名前を出してきたのは、そうまでして聞きたい話なのだと暗に示すためだろうと白井は思う。そして、白井がそこまで話を読みとるとも、真杜はわかって言っている。
「ほんと真杜ってやなやつだよね」
「おまえに言われたくねぇよ」
「好きな人がいたらなんだっていうの? そんなの真杜にもしーちゃんにも関係ないでしょ」
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