第2話【膝を抱えたアップルパイ】

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 むすっとしながら、また唐揚げに箸を伸ばす白井を、真杜は観察するように眺めた。 「サラダ食わねぇの?」  真杜が白井のほうへとサラダの皿を押すが、白井は首を横に振ってそれを断る。 「俺は好きなものから食べるの」 「あー。なるほどね。おまえ、そういうタイプか」 「そういうタイプって?」 「ショートケーキ、苺から食うやつ」  確かに当たっている。 「真杜は最後に食べるの?」 「いや。俺は端から順序よく食べるよ」  主役として生クリームの上に綺麗に盛られた苺を、皿の上に退かすなんていう無粋なことを真杜はしない。尖った端からフォークを入れ、真ん中に差しかかったところで苺を食べ、最後まで倒さずに食べるのだ。 「好きなものは最初に食べないと誰かに取られるって考え?」 「……そうじゃないよ」  それも確かにあるが、それだけではないのだ。 「だよな。そうだったら、とっくに告白してるだろ。武内さんに」  そう言って真杜は白井をじっと見た。賭けだった。これで白井が違うと言い張るなら、これ以上の詮索はせずに見守る。だけど、もし白井が認めたなら、真杜は親友として出来うる限りのアドバイスと協力を惜しまない。
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