602人が本棚に入れています
本棚に追加
むすっとしながら、また唐揚げに箸を伸ばす白井を、真杜は観察するように眺めた。
「サラダ食わねぇの?」
真杜が白井のほうへとサラダの皿を押すが、白井は首を横に振ってそれを断る。
「俺は好きなものから食べるの」
「あー。なるほどね。おまえ、そういうタイプか」
「そういうタイプって?」
「ショートケーキ、苺から食うやつ」
確かに当たっている。
「真杜は最後に食べるの?」
「いや。俺は端から順序よく食べるよ」
主役として生クリームの上に綺麗に盛られた苺を、皿の上に退かすなんていう無粋なことを真杜はしない。尖った端からフォークを入れ、真ん中に差しかかったところで苺を食べ、最後まで倒さずに食べるのだ。
「好きなものは最初に食べないと誰かに取られるって考え?」
「……そうじゃないよ」
それも確かにあるが、それだけではないのだ。
「だよな。そうだったら、とっくに告白してるだろ。武内さんに」
そう言って真杜は白井をじっと見た。賭けだった。これで白井が違うと言い張るなら、これ以上の詮索はせずに見守る。だけど、もし白井が認めたなら、真杜は親友として出来うる限りのアドバイスと協力を惜しまない。
最初のコメントを投稿しよう!