第2話【膝を抱えたアップルパイ】

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 人生を供にするであろう相方に、ずっと隠し事をしているのは辛い。だから早い段階でカミングアウトしてしまおうと、白井は思っていたのだが、その前に好きになってしまった。  武内の性格上、カミングアウトをすれば驚きはするだろうが、きっと「おまえも大変だな」くらいのことを言って大人の対応をしてくれるに違いない。間違っても気まずいから解散なんてことにはならない。  しかし、告白となると話は違ってくる。武内の実直な性格では、告白をしたら真面目に受け止め真面目に考え、真面目にフラれてしまう。そうなった時、一緒にいることを白井が辛いと感じるならば、解散という忌まわしい漢字二文字が、また顔をだしてくる。  好きにならなければ、武内の性格は白井にとってはベストだった。好きになってはいけない相手を、白井は好きになってしまったのである。 「……真杜だったらどうする?」  いつも物事を冷静に見つめ、綿密に、ともすれば変態的なまでに計画をたてるこの男だったらどうするのか。 「そりゃまぁ、正攻法ではいかないよ」  堅物ともいえる武内を相手に、真っ向から勝負を挑んでもまずお話にならないと真杜は思う。 「物事には順序ってもんが必要で」 「え。そういうこと真杜に言われたくないんだけど」 「は? ばか、おまえ。俺はめっちゃきちんと順序踏んでるからな。いいから聞けよ。武内さんみたいな相手を落とす時の第一歩は」  真杜からのアドバイスは、ある意味、順序がめちゃくちゃだったーー。  
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