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(あかんあかんあかん! こんなん、なんか俺が……俺が、白井のこと好きみたいやんけ!)
木津は邪念を振り払うようにぶるぶると頭を振り、ゲームでもやろうとスマホを手にした。
「…………」
(なんで? どのタイミングやねん。おんなじ部屋におんのにメールってなんやねん)
無料メッセージアプリに届いた白井からのメッセージ。壁に背を預け、イライラしながらそれを読む。
『舞台後、お話があります』
「…………」
(え、なに? 今じゃあかん話? つうか、お話ってなんやねん!)
木津は一瞬断ろうかとも思ったが、今日このあとは取材が一本入っているだけで、それ以外はなにもない。白井が目を合わせない理由も気になったし、なにより木津はこのままでは後味が悪くて仕方がなかった。
ええよ。と短く三文字。白井のほうを見ながら念をこめて送る。スマホを確認した白井は、木津のほうを見ることなく、またなにか打ち出していた。
『劇場横のカフェで待ってます』
「はいはい」
つい口に出して返事をしてしまい、隣で本を読んでいた相方の更科が怪訝そうな顔をする。
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