第3話【角の尖ったショートケーキ】

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「一人言でかいなぁ」 「え。あ、ちゃうちゃう。なんでもない」 「どうでもええけど、そろそろネタ合わせしよか」  本番まで、あと三十分を切っている。更科に促され廊下へ出ると、本日の出演者たちが皆一様に壁に向かってネタ合わせをしていた。  更科と並んで壁に向かいながら、白井の話ってなんだろう? と、木津はそればかりが気になる。 「おい。集中せぇや」 「すまん……」  更科に睨まれぱしぱしと頬を叩き気合いを入れ直す。考えても仕方のないことに心を使うのは無駄だ。そう言いきかせながらも、木津の心の中は白井でいっぱいだったーー。
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