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「じゃーん。サラダと目玉焼き!」
『お前、それ料理って言えない…って、おい!』
「え?何?」
咲良が持って来たサラダに、今夜水無月の為に作ろうと思っていたパスタの材料であるベーコンとトマトが添えられていた。
『それ…今夜の料理に使うつもりだったのに。』
ガックリと肩を落とす文月に、咲良はにやりと笑みを浮かべる。
「ねえ…今夜、誰か来るの?」
『お前には関係無い。』
「もしかして…恋人に手料理を振る舞うつもりだったとか?」
(恋人…恋人にはなれないって言われた。)
『違う。アイツは恋人じゃない。』
「ふーん、じゃあ…友達?』
(これからセフレになるのに、友達と言えるのか?恋人でも無ければ只の友達とも言えない。
どの言葉にも当て嵌まらない。水無月と俺の関係って、一体何なんだ?)
「どうしたの?」
『何が?』
「眉間に皺が寄ってるよ。まさか、言えない様な相手?不倫とか?やだー!」
『は?違うし!』
「えー。じゃあ、何でそんな難しい顔してるのよ。」
『恋人じゃないし、友達とも言えるのか分からない。』
「はぁ?何それ?どんな関係よ?」
『何それ?だよな。どんな関係かって聞かれたら俺には答えようが無いけど…』
「けど…?」
『アイツが俺にとって掛け替えの無い大切な存在って事だけは言えるな。』
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