三日月

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地球で誰かが泣いている。私がいる暗い夜の中で。 私は満月になりたい。満月だったらあなたのその後悔の言葉もきちんと受け止められるのに。 私のこの欠けた体じゃすり抜けていってしまう。 三日月を風流だなんていう人もいるけどそんなのは嘘。なに一つ欠けていない綺麗な月の方が綺麗でしょ? 私は満月になりたい。この広い空を我が物顔で照らすあの大きな月に。 私の体じゃこの空は広すぎる。私の光じゃ弱すぎる。満月だったらこの空の上から自分の光で照らして、あなたの顔だってちゃんと見られるでしょ? 私は満月になりたくない。自分から出るその光で、どんなに悲しいことも見なくてはならないから。 楽しいこととか嬉しいことはもちろん見たいけれど悲しいこととか辛い事の方がどうしても多いもの。 それに見ているだけだなんて、とても私耐えられない。 こんな身勝手な私だからきっと三日月のままなのね。 ごめんね、今夜は三日月で。あなたの後悔受け止められないの。貴方の顔、見る勇気なんてないの。 だからせめて最後に、あなたは気付かないだろうけど、力の限りあなたを照らすわ。 ちょっとでいいから笑った顔、見せてくれたらいいな。
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