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「……すぐ、
止血するからね?」
「……野口さん?」
朧は、
自分のほうに近づいてきた銀縁眼鏡を掛けた男性と、
2年前、
元バイト先の先輩だった有栖慶に紹介して貰った、
肩まで伸ばした漆黒の髪を後ろで束ねていた男性とうり二つに見えた。
「……誰も信じようとしない所は、
あの頃のままだね?」
「……」
2年前の単語を訊いて、
朧は、
自分の目の前に居る人物の正体を確信した。
この言葉の本当の意味を知っているのは、
亡くなった恋人の瑞穂を除いて、
3人しか居ない。
あの頃の俺は、
瑞穂以外信じる事ができなかった。
けれど、
残りの3人は、
どんどん自分の懐に入り込んできた。
自分が嫌がっても入ってきた。
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