0:目覚め

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0:目覚め

 洗面台の鏡に映った自分の顔を見ると、黒髪のボブの美少女だ。菓子や飲料水、脇汗の臭いを抑えるスプレーのCMなどに出演する10代の清純派女優が、メイク落としのCMで綺麗なすっぴん顔を披露したような白い肌の風采だった。  俺は美少女になった自分の顔を見ても全く驚かなかった。 (そうか、俺は自分が女の子になった夢を見ているのか)  俺が着るパジャマは前側からボタンで留めるタイプのピンク色で、何処でも化粧直しが出来るように化粧品一式を白のハンドバッグに入れて、洗面所まで持って来ていた。  俺は自分を支配する夢の流れに身を任せている。  夢は、酒に酔っぱらった状態に似ている。意識レベルが低下し、ぼおっとして、周囲が勝手に変化し、その時の記憶を維持するのが難しい。  これから俺が体験するのは『女の子』と云う異種の世界だ。
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