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7:男が滅んだ地球
校内放送でチャイムが鳴り、担任の40代後半の女性が入室する。どうやら教師まで全員女性のようだ。
俺の深層心理が望んでいる世界なのだろう。
世の中が全員可愛い女の子で出来ている。
まさに男の夢だ。
出席確認を終えると、この担任の女性はそのまま自分の担当科目である『生物』の一限目の授業を始めた。
「本日の授業は、人類の進化の歴史についてです。教科書の38ページを開いて下さい」
担任教師が言う通り、教科書を取り出して机の上に開く。
「生物の歴史は進化の歴史です。それは私達人類も例外ではありません」
俺は先生の話を聞く前に、教科書に書かれた内容が見え、目を丸くした。
「人類も1999年7月、皆さんが生まれる5,6年ぐらい前です。ノストラダムスの大予言で示されていた『恐怖の大王』と現在では認識されている伝染病『ぺスター病』が世界的に大流行しました。これは精巣を持つ男性だけが感染する伝染病であり、これによって21世紀が来る前の2000年9月11日までに、人の男性は絶滅してしまったのです。皆さんが産まれる前の出来事ですから、今の子はどうして他の動植物が雄と雌に別れているのか分からない子も多いんですけどね」
我ながら傑作な妄想。
「今から20年ほど前は、人も『女性』と『男性』の二つの性別に分かれていました。女性と比べると男性は力なら強かったですが、非常に狂暴で戦闘的であり、犯罪者になるような悪人が女性よりもかなり多かったのです。男性は女性に不当な差別を多く与えました」
欠席裁判とはこのことか。
「このような凶悪な『男性』を自然の摂理は認めなかったと現在は考えられています。男性は徐々に自分達が行ってきた不当な差別や悪事を女性から白日の下に晒されるようになりました。その天罰を受けるようにぺスター病が大流行し、男性は滅んでしまったのです。これはテレビでも見られるし、世界史や日本史の授業でも習うから知っていますよね? 現在は人工精子から種の保存と全ての子供の女性化する技術が開発されて、ぺスター菌に耐性を持つ女性だけが生き残っています。このことから、20世紀までの歴史を男性史、男性が滅んだ20世紀以降を女性史と呼ぶようになりました」
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