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「ほんとに、ありがと。来年も、絶対来てね。そしたら、またここで会えるから」
そして、アイツは帰っていった。
いつの間にか、セミが鳴き始めていた。
暑い。どうしようもなく暑い。
アイツも、暑がってるだろうな……。
「来年も絶対、来るからな」
そう声をかけながら、墓石に冷たい水をかける。
「大好きだよ」
あいつの声が聞こえた気がした。来年、本当に会えるかどうかはわからない。だけど、これだけは伝えておきたい。だから、言わせて。
「オレも」
空を見上げる。太陽の光がまぶしい。夏の空は、どこまでも、どこまでも青かった。
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