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灰色の空
僕は外に出た。そして、空を見上げた。だけど空はやっぱり灰色だった。
青空を見てみたい。それが僕の夢。ばあちゃんは言う。
「昔は、空と言えば灰色だったのにねえ」
だけど今では、空と言えば灰色。
半ばあきらめてはいるけれど、一度でいいから青空を見てみたい。だけどやっぱり空は灰色。それでも。
いつかは青空が見えるかもしれない。そんなかすかな希望をいだいて、僕は旅に出る。失われた青空を見つけ出す旅に。
2050年。工業の発展と自動車の増加に伴い、空の色も変わっていった。
空色は青く澄みきった色から、汚れて濁った色になった。
そして今、青空を見つけるため、多くの若者が旅に出ている。
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