大滝詠一を聴きながら

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ここのレストランは、6時から混んでくるので二人増員される。 今日は落合誠一と真中さん。 落合とは幼稚園から中学校まで一緒だった。 大人しくて人と話すのが苦手だったはずだが、真中さんと仲良く話している、それも饒舌に。 落合、高校で何があったんだ! 真中さんは初対面。 小柄で可愛らしいレストランのアイドル的存在。 みんなにチヤホヤされている。 団体客が入り忙しくなった。 ボクも慣れないながらも一生懸命動く。 まだ無駄な動きが多いのはしょうがない。 今日はコーヒー3杯にチャレンジした。 左手にコーヒーカップの一部を重ねて持ち2皿、右手に1皿。 レッツゴー。 ゴールは遥か彼方の、ロング・&ワインディングロード。 のろのろ歩きながらなんとかたどり着く。 「お待たせいたしました」 コーヒーカップをカチャカチャしながらも置くことができた。 お盆を使ったほうが速いのにね。 ほっとすると、大滝詠一の『カナリア諸島』が聴こえてくる。 『カナリア~アイランド~カナリア~アイランド~風は動かない~』 この曲が好きになってきた。 空いてきても、ボクはお冷サービスや中間バッシングをする。 中間バッシングは、食事が終わりお客さんが帰ったあと、効率よく片付けられるので 手が空いたときに行うよう、店長に言われていた。 ふと、後ろを見ると、落合と真中さんが厨房の人とお喋りをしている。 ここにいると、いろんな人間模様が分かりそうだ。
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