大滝詠一を聴きながら

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「いらっしゃいませ」 直美ちゃんの声に振り向くと、外からお客さんが二人入ってきた。 ボクはテーブルをダスターで拭きながら、意識をレジのほうに向けている。 ほどなく会計を済ませたお客さんがこちらにやってくる。 その後ろから直美ちゃんのサイン。 顔の近くに両手を持ってきて割りばしを割るしぐさのあとに、指2本。 OK、割りばし2本だね。 ボクは水2杯と割りばしを持ってお客さんのもとへ行く。 店内のBGMは大滝詠一の『ロングバケーション』。 ナイアガラサウンドがゆったりと流れている。 ここは、北関東の高速道路にあるサービスエリアのレストラン。 ボクは今月からここでバイトしている。 1980年代中頃の高校3年、冬の出来事。
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