大滝詠一を聴きながら

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家の近所にある立派な銀杏並木も、葉っぱがすっかり落ちて寂しくなった。 それに代わり庭の山茶花がピンクの花を咲かせた。 『焚火だ焚火だ落ち葉たき~』 本気で冬支度が始まり、もうすぐ冬休みがやってくる。 学校ではクラスメートとほとんど話さなかった。 あの日からボクの心は閉ざされてしまった。 親父を事故で亡くした6月のあの日から・・ 葬式の翌日、藤木がチャリンコで家に来てくれた。 何を言われたか覚えていないが、慰めの言葉をかけてもらった。 そのときボクの元気指数が少しだけ上がったのはハッキリ記憶している。 喪が明けて高校に戻ると、仲のいい友達が気にかけてくれた。 だけど、このモヤモヤ感はなかなか消えず、ずーとつきまとわれた。 だから、このバイトがボクにとっての社会にでる前のリハビリみたいなものだった。 いろんな人から声をかけられ、いろんな人と話す。 もちろんお客さんとも。
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