大滝詠一を聴きながら

21/30
前へ
/30ページ
次へ
今日はクリスマス。 世間も浮足立っている。 出番は大倉店長に落合と清水さん。 大倉店長は初めて会うが、事前に直美ちゃんから情報は聞いていた。 厭味を言うから気をつけるようにと。 清水美智子さんとは2度目。 同級生で隣町の高校に通っている。 落ち着いた女性なので年上と勘違いしそうだ。 BGMはさすがにクリスマスソングだ。 さあ、厭味言われないように働かないとね。 レジには大倉店長が入っている。 あっ、大倉店長はサインが通じるっけ? お客さんが会計後にこちらへ歩いて来るが、大倉店長からのサインは無い。 そうか、サインはバイト仲間のものなのね。 このころになると、お客さんとも楽しく会話できる。 家族連れのお客さんで、子どもがチョコパフェを食べたいと駄々をこねている。 だけど、子どもの手には売店で買ったアイスクリームがある。 そうだよね。パフェのほうが美味しそうだよね。 結局、子どものわがままを聞き、パフェを注文することになった。 ボクのネームプレートを見て、お父さんから一言。 「岸さん、これ良かったら食べて」 アイスを差し出す。 しょうがない、一件落着のため頂いたよ。 「ボク、アイスありがとね」 と、子どもの頭を撫でながらお礼を言った。 このやりとりを遠目で見ていた清水さんが面白がっていた。 「岸くん、凄い!子どもからアイスを奪い取った」 「違うよ、子どもがパフェ食べたいって言うから」 「ムキになるとこ可愛い~」 あれ、からかわれたよ。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加