大滝詠一を聴きながら

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年が明けた。 松の内も過ぎ、天気の良い青空。 富士山がよく見える。 電線にゲリラカイトが頼りなくぶら下がっている。 今日は自動車教習所。 やっと4段階、いわゆる仮免許で路上教習だ。 担当の先生を確認すると松島先生。 あ~ついてない。 あまり評判の良くない先生だ。 「よろしくお願いしま~す」 最初にボンネットを開けてエンジンルールの点検をする。 何がどこにあるのかサッパリ分からないが、適当に指さして大きな声をだして 「よしっ」と言いながらボンネットを閉めてしまう。 いつもの手だ。 さて発進。 正直、未だにアクセルとクラッチの加減が分からない。 案の定、エンストしてしまった。 「おいおい、しっかり行こうぜ!4段階だろう」 いきなり先生の罵声が飛んできた。 この先生は分かっていない。 ボクは褒めて伸びるタイプなのに。 恐る恐る路上に出ると、そのスピード感に恐怖を感じた。 せまっ苦しい教習所の中では大した速度は出ないが、ここは車がビュンビュン走っている。 ウインカーをカチカチ鳴らして左に曲がると国道に出た。 そこは片道2車線の制限速度50キロの世界。 「オラァーもっとアクセル踏んで!周りの車に迷惑だろ」 先生に野次られてやっと法定速度まで上げたが、他の車は相変わらずビュンビュン抜かしていく。 みんな交通違反じゃないの? フラフラになりながら路上初日を終えた。
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