大滝詠一を聴きながら

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「それでね岸くん、彼女が二人で話したいというのでよろしくね」 なんて言って衣笠さんは去ってしまった。 ありゃりゃ。 話ってなんだろう?彼女から用件を話すだろうと思ったが、 ちっとも話す様子がない。 しょうがない。 ボクの脳みそをフル稼働して 部活のこと、教習所のこと、今やってるバイトのことなどを話した。 なんとか話題が続き、電車の時間が近づいてきた。 田舎の電車は1時間に2本程度なのだ。 ボクが駅に行こうとすると、百瀬が送ると言ってついてきた。 「メガネからコンタクトに変えたんだ」 「そうだよね、ずいぶん印象変わったよ」 「どうかな」 とボクを見つめてくる。 「うん、とっても似合ってるよ」 二人で歩きだすと百瀬が饒舌になった。 駅まで5分くらいの道のりだけど、さすがに疎いボクも気づき始めた。 それからは、なるべくそういう雰囲気にならないよう明るく振舞って対応した。 そして電車がホームに入ってきたのを合図に 「またね~」 と言って手を振り駆け出した。 どうしても、高1のときに振られてからそういう話は苦手なんだ。
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