大滝詠一を聴きながら

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「あ~!大型バスから降りたお客さんがこっちにやってくるよ」 直美ちゃんのアンテナは常に高感度だ。 「それも2台です~」 まいったなぁ。 今日は福島店長に直美ちゃんとボク。 もうすぐ6時だけど、新入りの森君が加わるだけ。 森君は一つ下で、細見の気の弱そうなメガネくん。 藤木は風邪をひいてダウンだ。 いっきに店内は混雑してきた。 直美ちゃんはテキパキとレジ打ちをして、ボクにサインを送ってくる。 観光バスで来るお客さんは、郷土料理は何かを楽しそうに喧々諤々して注文を決められないので、良い時間調整になる。 ちなみにここの一番人気は、トン汁定食。 郷土料理では無い。 ボクらがバタバタやってると森君が加わった。 「すっごく混んでいますね」 「観光バス2台だよ、それもほとんど入ってきた」 「僕は何をやりましょう」 「とりあえずバッシングして」 何をやったらいいか分からない者には、片づけをお願いするのが一番効率よい。 団体客がやって来るということは、ほとんど同時に料理が出来上がる。 ここからが一番大変。 みんな料理を持って行ったり来たり。 厨房から料理ができると『チーン』と合図がある。 バッシングしつつ、他のお客さんのお冷の減りやデザートのタイミングを計りながら厨房に戻る。 こういうときって、リズムにのると妙に神がかりな動きができる。 自分のやるべき仕事は何か、優先順位を考慮して効率よく動ける。 我ながらウエイターが様になってきたな~
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