19人が本棚に入れています
本棚に追加
あの鬱々とした夏が終わり、だんだん涼しくなるにつれて体調が楽になってきた。
ボクは本来夏が好きだが、このときばかりはピリッとした寒さを体が欲していたように思う。
就職も決まったしアルバイトをしようと、近所のレストランの面接を受けた。
小学校のときの同級生が何人か働いているので誘われたのだ。
高速道路のサービスエリアには、裏から入れる従業員通用口がある。
通用口の前はとても乱雑だ。
捨てるか捨てないか分からない微妙な状態の椅子やテーブル。
換気扇からは厨房からの脂ぎった臭いが漂ってくる。
換気口から風が盛大に吹きだしている。
通用口を入ると中の通路も乱雑だ。
どこからともなく洗剤の臭いがするし、ダンボールが所狭しと積んである。
前からコックさんが歩いてきた。
白くて長い帽子をかぶっているからコックさんだろう。
「すいません、事務所はどこですか?」
「ああ、そこのドアね」
コックさんは足早に歩いていった。
最初のコメントを投稿しよう!