大滝詠一を聴きながら

5/30
前へ
/30ページ
次へ
通用口の外にて。 「じゃあ、岸くん少し下がって。もっともっと」 20メートルくらい離れて対面する。 「いい?岸くん!ボクのあとに続いて大きな声で言って」 「はい、わかりました~」 「いらっしゃいませ」 「いらっしゃいませ」 「う~ん、ちょっと小さいな、もっと声だして」 「いらっしゃいませ」 「いらっしゃいませ」 「そう、その調子、じゃあ次ね。ありがとうございます、またお越しくださいませ」 「ありがとうございます。またお越しくださいませ」 「最後のほう聞き取れなかったよ、もう1回」 換気扇の音がうるさく、声が消されてしまう。 最初は恥ずかしいところがあったが、諦めて大きな声をだすことにした。 結局10分くらい声をだし続けた。 働いてお金を稼ぐのは大変だと思った。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加