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通用口の外にて。
「じゃあ、岸くん少し下がって。もっともっと」
20メートルくらい離れて対面する。
「いい?岸くん!ボクのあとに続いて大きな声で言って」
「はい、わかりました~」
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいませ」
「う~ん、ちょっと小さいな、もっと声だして」
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいませ」
「そう、その調子、じゃあ次ね。ありがとうございます、またお越しくださいませ」
「ありがとうございます。またお越しくださいませ」
「最後のほう聞き取れなかったよ、もう1回」
換気扇の音がうるさく、声が消されてしまう。
最初は恥ずかしいところがあったが、諦めて大きな声をだすことにした。
結局10分くらい声をだし続けた。
働いてお金を稼ぐのは大変だと思った。
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