大滝詠一を聴きながら

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「よーし、岸くん良い声でてきたね。次は厨房を案内するね」 また、通用口から事務所を抜けて厨房に入る。 途中でコックさんやウエイター、ウエイトレスに会うが、みんな支配人に良い笑顔を見せる。 支配人も人懐こい笑顔、そしてボディタッチ。 たぶん信頼されているんだろうな。 厨房から前を見ると、そこは紛れもなくレストランだった。旅行帰りの家族やカップルなどが、お洒落な空間にパッケージされていた。 急に別世界を見たような妙な気分だ。 ふと視線を感じると直美ちゃんがいた。 渡辺直美は部活の後輩。 もっともボクは2年の終わりで辞めちゃったけどね。 「あれ~岸先輩どうしたんですか」 「今日からバイトすることになったんだ。よろしくね」 「何時からですか?」 「5時から9時だよ」 「あ~同じシフトですね、よろしくお願いします」 「うん、よろしくです」 一通り皆に紹介してもらったあと、支配人は後事を店長の福島さんに任せて退出した。
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