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言霊を避ける瑠璃の姫が告げた相手は、今頃『護り札』と『式紙』を作っているだろう。思い浮かべたのは美しい顔と緑の艶を帯びた黒髪、鮮やかな蒼い瞳の美人だ。
男女の違いはない……その表現は半分当たりで半分外れだった。自身も神族の血を引くからわかるが、男女どちらでも選べるだけだ。大抵は選んだ性別を後から変更することはないが、どこにでも例外はいる。
ただし、アカリは今も男性体だった。
「誰に聞いたの?」
呆れ顔で身を起こせば、長い赤茶の髪が滑り落ちた。三つ編みした長い髪を背に放りながら首を傾げる友人へ、帝である山吹が当たり前のように答える。
「天照様だけど」
「……あっそ」
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