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04.***呼出***
ふぅ……大きな溜め息をついた北斗が肩を竦めた。
「よほど怒らせたんだな」
誰を、誰が、どういうふうに。すべてを省いた言葉で、彼は真桜の心境を口にする。肯定も否定もせず笑うだけの真桜だが、意地悪さを滲ませた表情は前者を意味していた。
「自業自得、因果応報ってか」
北斗は呟くと、先に行くと手を振って走り去った。あわただしい彼の姿が見えなくなる頃、アカリはぽつりと呟く。
「……そこまで高尚な話でもあるまいに」
「人間なんて、その程度だよ」
苦笑いした真桜がアカリの黒髪をくしゃりと撫でた。
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