1 暗黒世界制樹

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「確かに、羽が生えているものな」 「それでは、先ずあの手前にあるビルから飛んでみましょう。三階建てです」  女神サーティのオーラが弱まって、外の様子が明瞭になった。  あの三階建てか。 「えー。お股がすーすーしそう。高い所は苦手なんだよ。昆虫採集は、虫取り網があればいいだろう」 「秋永玲、この世界で、昆虫採集の話は控えてください」  俺の趣味だが。  遥夏も色々と注文つけるんだよな。  カブトムシを戦わせないでとか。  エサは、ちゃんとしたものをあげなさいよとか。  何だかんだと遥夏も好きなのかな?  昆虫がね。 「ああ。なんでだ話したらいけないんだ?」 「いずれ分かります」  そんなものか。  まあ、いい。 「やってみるよ」  ◇◇◇ 「あの水色のビルへ! はばたけ!」  ばさっばさっばさっ……。 「はあ、はあ、飛べないぞ」  ばさっばさっばさっばささささ……。 「あ。ちょっと浮いた。おい、女神サーティ! 見えるか?」  返事がなかった。  しかし、ここまで来たら飛ぶしかない。  ばさばさばさ。  いい感じにはばたける。 「いーけー!」  一気に三階の方へ向かった。  がしっ。 「いてーな」  二階の窓にぶつかってしまった。  悔しいなあ。  もう一回だ。 「ジャーンプ!」     
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