1人が本棚に入れています
本棚に追加
「確かに、羽が生えているものな」
「それでは、先ずあの手前にあるビルから飛んでみましょう。三階建てです」
女神サーティのオーラが弱まって、外の様子が明瞭になった。
あの三階建てか。
「えー。お股がすーすーしそう。高い所は苦手なんだよ。昆虫採集は、虫取り網があればいいだろう」
「秋永玲、この世界で、昆虫採集の話は控えてください」
俺の趣味だが。
遥夏も色々と注文つけるんだよな。
カブトムシを戦わせないでとか。
エサは、ちゃんとしたものをあげなさいよとか。
何だかんだと遥夏も好きなのかな?
昆虫がね。
「ああ。なんでだ話したらいけないんだ?」
「いずれ分かります」
そんなものか。
まあ、いい。
「やってみるよ」
◇◇◇
「あの水色のビルへ! はばたけ!」
ばさっばさっばさっ……。
「はあ、はあ、飛べないぞ」
ばさっばさっばさっばささささ……。
「あ。ちょっと浮いた。おい、女神サーティ! 見えるか?」
返事がなかった。
しかし、ここまで来たら飛ぶしかない。
ばさばさばさ。
いい感じにはばたける。
「いーけー!」
一気に三階の方へ向かった。
がしっ。
「いてーな」
二階の窓にぶつかってしまった。
悔しいなあ。
もう一回だ。
「ジャーンプ!」
最初のコメントを投稿しよう!