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「おい、遥夏! どうした、遥夏?」
辺りを見回したが、不思議なことに、さっぱり見当たらない。
遥夏ってお節介で面倒な幼なじみだけどさ、いざ、行方不明になると怖いよ。
何かの冗談だと言ってくれ。
俺も、俺もさらわれるのか?
「秋永玲よ。コロムン戦記は、扉を開けて待つ。いつでも戦いに応じよう」
「コロムン戦記って何だよ?」
何が何やら分からなくなって、素っ頓狂になってしまった。
「教えよう、我が国家の威信をかけた戦いだ。『コロ』は『ころりとした』、『ムン』は行けば分かるが、能力の名前だ。よく覚えておけ」
「何、威張っているの」
俺は、自分に正直過ぎるとよく遥夏から指摘される。
このとき、よけいなことを口走ったと思った。
「分かった。コロムンさんだね」
ちょっと冷やかし気味に、見えない相手にやけくそになった。
遥夏がいないからか。
「ほざくな、秋永玲。キミも我が世界へ来て貰う」
「そっちの世界だと? 神谷遥夏を連れ去ったのか……! コロムンさん、遥夏を返してくれ。勿論無傷でだ」
忍者罠が小憎らしくなって、蹴ってみた。
「ああ、痛い。何する。秋永玲」
「んー? コロムンさんよ。ここにいらっしゃるんですか?」
俺は、忍者罠の結び目を解いた。
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