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かん高い声がつんざく。
「コーロームーン! 我が世界へ落ち給え! 秋永玲を誘い給え!」
ばちっと俺の目の前が一瞬にして真っ暗になった。
「ふおおおおお! 穴が! 穴が……!」
そのまま落ち続け、高い所が苦手だからぞくぞくとした。
悲鳴も忘れて無言のまま下から風を受ける。
「うう……」
時間にしてどれ位だろうか。
暫くして、どこかに尻もちをついた後、気を失っていたらしい。
瞼を起こすと、目の前に眩しい道が見えた。
そっちへ行くしかないと思い、警戒して這いつくばったまま、進んだ。
「ここは、落ちたのだから、地下じゃなかったのか? 地下世界にこんな所があるとは思えないよ」
眩しい世界に出てみると、世の中にあるお金持ちの暮らすような街だった。
「こっちにもビル、あっちにもビルじゃないか」
よく考えてみよう。
コロムンと名乗る者が呼び寄せたんだ。
俺も這いつくばっていないで立ち上がってよく見よう。
その時、ぐらぐらと目眩がした。
「何だ? 何が起こった」
上下が逆さまになる感覚だ。
手をつきながらゆっくりと立とうとする。
ふらふらだが、何とかがんばっての二足歩行だ。
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