戦に次ぐ戦

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最初は戸惑いや躊躇いもあったが、やらなきゃこっちがやられるからな。 2回目の時には、もう馴れちまった。 「私は何のために戦っているのだ……」 戦が終わると必ずお前は嘆いていたよな。 何度も戦を経験しようが敵を殺すことをお前は躊躇った。それがお前の優しいところでもあるけど、弱点でもあったと俺は思う。 一人を倒し、一つの戦いを終わらせ、何度も勝利を重ねるうちに俺たちは騎士団として、誰にも、どこの国にも負けないように成長した。 よく言われるが青春っていうのは、俺たちにとって戦場でのことを言うのかもしれない。 やっぱり生きるか死ぬかの戦いを勝ち残った時、俺は自分が生きていると実感ができた。 だけど、そうじゃない奴もいるんだよな。 「男として、守りたい人が出来た」 とか何とか言って除隊した奴もいたな。 正直、女ってのは見た目も強そうじゃないし、口ばっか上手くて俺は苦手なんだけどさ。 俺からすると、ずっと使ってる剣が恋人のようなもんだった。 どんなに古くて劣化しようとも、俺は最後までこいつと一緒にいると誓った。 戦場へ行く時には必ず一緒だった。 数え切れないほどの戦に勝ち、幾年も過ぎた。 大戦が終わるって聞いた時は、何ともいえない不思議な感じがした。 その時にはもう心身共に朽ち果てて意識も朦朧として、気力だけで何とか帰ってきたって感じだった。 ガキの頃に夢見た英雄の凱旋をまさか俺が体感するなんて、ちょっとだけ笑っちまったさ。 「…………」 大音響の喝采を期待して門を潜ったら、住民全員の視線が刺さった。 まるで敵を見るかのような目つきだった。 あの時の光景をお前にも見せてやりたがったが、まぁ、結果的には見なくて良かったな。 「敵だ。殺せ!」 って、殺気を感じた瞬間、俺は意味も分からず逃げた。 守るべき市民に剣を向けるわけにはいかないしな。
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