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風呂から出ると、ラインの着信が点いていた。
まあ、ラインの相手は二人しか居ないから、そのどっちかだろう。
俺は濡れた髪をタオルで拭きながら、机の上にあるスマホを取る。
『すまない。信矢に言っておかなければならいない事がある。』
俺は、『なんの事だ?』と、返す。
すぐに返事が来た。
『俺、璃緒に付き合ってくれって告白する。』
ああ、やっとか。俺は大体の予想はついていた。
『すまなかったな。俺が自分勝手な事を頼んでしまったから、ここまで伸ばしてしまって。』
『いや、それは関係ない。俺も今の関係は好きだったからさ。』
『そっか。ありがとな。二人の幸せを、これからは見せてくれよ。』
『まかせろ!』
俺はスマホを机に戻し、首にかけてあったタオルで髪を少し荒く拭いてから、ベットに腰を下ろした。
高校2年の春、俺は新潟から親の転勤で静岡に来た。
その高校で出会ったのが、和哉と璃緒奈だった。
高校一年の時、弓道で高等学校選抜全国3位になった俺は、弓道のある高校に推薦で転校し弓道部で知り合ったのが和哉。
和哉の幼馴染で同級生になった璃緒奈。
母方の実家の弓道教室を継ぐと決めていた俺は、人付き合いを極力避けていたが和哉と璃緒奈だけは、自分勝手な俺に付き合ってくれた唯一の友人になった。
今では、二人を親友だと思っている。
璃緒奈には感謝している。
人との付き合いを避けていた俺に、彼氏になって欲しいと告白する女子が後を絶たなくて、和哉に相談したら、璃緒奈に恋人役を演じて貰うことになった。
明らかに、和哉は璃緒奈の事が好きなのは判っていたが、半ば強引に二人に押し切られてしまう。
まあ、二人に甘えてしまったのは俺の身勝手な性格だったと、今では理解している。
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