すれ違い。そして結末

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「ねぇシカダイ、シカダイはなんで僕に構うの?」 「別に…」 「別にって…」 最近シカダイは上の空だ 僕は、五百年前君がくれた愛が頭の中を回っている 「ねぇシカダイってば…」 「………うっせーな、お前と俺は猪鹿蝶だから一緒にいるだけなんだよ」 「え…」 待ってよ だって それじゃあ そこに君の意思はないの? 「じゃあ…猪鹿蝶じゃなかったらどうだったの?」 「どーしたも何も、関わんねぇよ。お前みてーな…めんどくさーやつ」 違う こんなことが言いたいんじゃない 五百年前からずっと伝えたかった愛 五百年前に一度しか伝えられなかった愛 「…用はそれだけか?じゃあ、俺修行あるから」 でも お前は五百年前のこの愛を 受け入れてくれないだろ? 覚えてないんだから… 「待ってよシカダイ!」 「……うっせーなぁ!オメーなんかどーでもいいんだよ!俺の気持ちなんて知らないくせに、俺にまとわりつくんじゃねぇ!」 違う こんなことが言いたいんじゃない 俺は そんな顔をさせたいわけじゃない ただ嫌われたくなくて お前が受け入れてくれないことが怖くて だから 泣かないでくれ 「ご…ごめ…僕…そんな風に思われてるって…わかんなくて…」 「…五百年のお前を知ってるから。」 あぁ… 言ってしまった 引かれるかもしれない でも ここまで言ったからには全部言おう 「五百年前からお前を知ってるんだ。ずっと、ずっと好きだった。だから、どうしても目離せない。」 まぁ 五百年我慢したんだ 一回ぐらいなら 許してくれるだろ… 「五百年のお前を知っているから。」 待って 反則だよ なんでもっと早く言ってくれなかったの 君が覚えてるなんて もっと早く知っていればよかった 「ぼ…僕も…知ってる…」 「え…」 「五百年の君を知ってる…大切な君の鼓動が…消えていく五百年…」 君と過ごした五百年 消えるわけがない 「…好きだ……好きだ…愛してる……好きなんだ…」 何度唱えても もう二度と届かないと考えていた でも 届いた 「もう二度と離さない…もう二度と…お前の名前を忘れない…いのじん…いのじん…いのじん……」 あれからも 俺たちは変わらない 忘れることはない あの五百年の月日は 俺とあいつの中で流れている もう二度と あいつの名前は忘れない
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