食育のススメ

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 ヨシュアは、ガードの制服を脱いでシャツ1枚になると、大きく息をついた。相当我慢していたようだ。 「ドラゴンは寒い地域に住んでいるけど、子どものドラゴンは大きくなるまでお母さんドラゴンの背中の上で大きくなるのよ。お母さんドラゴンの背中はとても長い毛で覆われていて布団の中にいるようにとても暖かいんだって」  ヨシュアがベビードラゴンの顔を見る。手のひらに乗るほどにしかない背丈に、消え入りそうな寝息。 「いつも一緒にいるから、お母さんドラゴンとベビードラゴンはとても絆が強いの。お母さんドラゴンは子ども想いで、食べ物の多くを子どもに分け与えるわ。子どものドラゴンも大きくなると年老いたお母さんを守って戦うの」  マリアはヨシュアの顔を見る。ヨシュアの眼帯が汗で濡れて、チューリップの絵柄にも泣いたように汗のあとがついていた。 「さっき、ここを襲われるって言った話はこの子を助けたいからだけじゃないわ。母親のドラゴンは必ずこの子を探しにくる。そして、母親はこの子にしか説得できない」  しばしマリアの顔を見ていたヨシュアは一つ首を振ると大きくため息をついた。 「わかりました。わかりましたよ。知ってました。わかってました。そうくると思ってました!」     
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