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ヨシュアは剣の柄の底についた紅色の汁を丹念に拭き取ると、剣をかかげた。
「東の森の最強ガードであるこの俺と、俺の愛剣ギヌアースの手にかかれば──」
「ありがとう! ヨシュア。さすがだわ。手伝ってくれるのね! この子がこの森で暮らせるようにしてあげないと! ドラゴンは大昔は草食だったのよ。肉食獣のいないこの森でも他のモンスターや動物と一緒に暮らしていけるはずだわ」
「え、いや。あの、俺、母親ドラゴンを探すんだと……」
「なに言ってるの。迷子は動かないのが基本でしょう。私たちが動いちゃったら、母親ドラゴンがこの子の手がかりをなくしちゃうじゃない! お母さんドラゴンが来るまで、しっかりと食育しましょうね!」
がっくりとヨシュアの剣が下される。ギヌアースが本来の用途で活躍するのはもっと先の話になりそうだった。
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