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「考えて選択して大事に、いただく……」
食事についてそんな風に考えたことはなかった。ヨシュアがもう一度ガマグミを見る。
「あのドラゴンにも……?」
同じようなことが可能なのだろうか?
「基本的には同じよ。ただ、一緒に暮らすモンスターや人間たちが食べ物ではないってことは教えないといけないわね。それ以外にも美味しいものはたくさんあるのよって」
草食のモンスターしかいないこの森で、食べられる心配はない。けれど、もし王者となる肉食モンスターが現れたのなら、その最大の危機に全力で立ち向かうだろう。
「美味しいものたくさん食べましょうね」
ドラゴンの頭を指で軽く撫でる。
ベビードラゴンはくすぐったいのか身をよじるように頭を少し振った。
その目がゆっくりと開かれる。
「リュ……イ?」
首を重そうにゆっくりと上げ、あたりを見回す。
マリアの指にそっとほおを当てて、鼻先を当てる。
「……リュ?」
その指先をペロリとなめて、ゆっくりと指先から続くマリアを見上げる。
「──!」
音にならないほどの高音にマリアとヨシュアは思わず耳を塞ぐ。
まだ動けないだろうに、バタバタと翼を藁に打ち付け、必死にはい出ようともがく。
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