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「危ない!」
ヨシュアがマリアの腕を掴むと思い切り引っ張った。
先ほどまでいた土の場所には、雷が落ちたような跡がある。
洞窟の暗闇の中で時折光る細い筋は、コントロールが効かない馬のようにジグザグと道筋を変え、突拍子も無い場所へとぶつかっていた。その全てはベビードラゴンから放たれている。
その様子を息を呑んで見守っていたマリアが、何かに気づいたように目を見開くと、まだ残っていた赤い実を掴み、ベビードラゴンへと投げる。
「な! マリアさん!」
悲鳴のようなヨシュアの声を無視して、マリアはベビードラゴンの動きに注視する。
ベビードラゴンは何かに当たったことには気づいたものの、それがどこに行ったのか、どこから投げられたのか全くわからないようだった。あたりを大きく見回して、諦めたかのようにふんと鼻を鳴らし、先ほどよりも大きな動きで藁の上をジタバタともがき始める。
「マリアさん! 余計ひどくなってますよ!」
「やっぱり」
「わかってたんならなんでやったんですか!」
「あの子、片目が見えていないわ」
「へ?」
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