食育とは

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 マリアは初級防御魔法と足元に消音の魔法をかけると、ドラゴンの左目側から右目の視界に入らないように、一歩ずつ近づいて行く。  片手を伸ばせば届くところまで来ても、ベビードラゴンは藁の上でもがくばかりでマリアには気がつかない。気配に敏感なモンスターにはありえない話だ。  マリアは今度はベビードラゴンから遠ざかると、右目側の方に手が届かないくらいの距離まで近づいていく。ドラゴンの顔が少し、マリアの方に傾いた。 「──!」  牙をむき出して応戦してくる。が、目に迷いがある。やはり、先ほどはわけのわからない状況に混乱していたようだ。 「大丈夫。私はあなたに危害を加えない。約束するわ。なんだったら、まだ飲む?」  もうすっかり乾いてしまった干草を腕を伸ばして届く範囲に置く。  かろうじてベビードラゴンの近くに置かれたその匂いを嗅ぐと、ドラゴンはペロペロと干草をなめた。 「リュク」  欲しい、とでも言うかのように声をあげる。  マリアは数少ない赤い実を丁寧に漉して、干草に染み込ませるとドラゴンの目の前に置く。干草でさえ飲み込みそうなほどの勢いで吸い付いている。 「ゆっくりね。干草は消化に悪いから飲んじゃダメよ」  マリアの言葉がわかっているのか、時折小刻みに首を縦に動かしながら、黙々と干草を吸う。残りの実全ての汁を吸いきると、まだ物足りなさげなベビードラゴンにマリアはゆっくりと言い聞かせた。 「一度にたくさん飲むとお腹を壊すかもしれないから、今日はおしまいね。気に入ったのなら、また明日あげに来るわ」 「リュク!」  ベビードラゴンは味方とみなすことにしたのか、マリアに向かって元気に返事をする。 「ありがとうね」  マリアがゆっくりとベビードラゴンの頭を撫でる。  気持ち良さそうなその姿に、ヨシュアは何か突拍子もない魔法を見せられているようだった。
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