食育のススメ

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「ドラゴンは基礎能力が人間をはるかに上回っているのよ。おそらく治癒能力も高いから、人間に効くレベルの回復魔法だと意味がないかもしれないの。一番良いのは、この子の治癒能力を最大限高めてあげられる環境を作ることね」 「わかりました!」  ヨシュアがライトの呪文を唱える。剣の方が得意だと聞いていたが、ずいぶん様になっている。光の玉のようなものが3つほど部屋の中を照らした。 「ウォームの魔法もかけたのね。明るくて暖かくてとっても良いわ」 「俺は器用じゃないんで、魔法使うと動けなくなるのがデメリットなんですけどね」  確かにライトを浮かび上がらせる時の手の動きのまま、天井に手をかざしている。魔法が得意な人間ならば一度浮かべれば、持続的に効果を発生させられるだろう。違う魔法をかけることも可能かもしれない。 「今は戦いじゃないもの。ライトにウォームを重ねがけできる器用さの方が重要だわ」  へへへと嬉しそうにヨシュアが笑う。マリアもつられて笑うとベビードラゴンがピクリと動いた。回復魔法をかけていた右手に背中を擦りつけながら、ヨシュアの出したライトの方へ這うように移動する。目は瞑ったままだが、しかめられた眉が辛さを物語っている。抱いて動かしてあげたいが、それも逆効果になるかもしれないと思うとなかなかできない。右手も一緒に移動させ、ライトの真下まで来ると、ベビードラゴンの目元が幾分か和らいだ。  一連の流れを見ていたマリアとヨシュアは呻く。 「これはちょっと」 「可愛いわね」  ベビードラゴンはリュクと一つ鳴き声をあげた。     
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