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暖かさか回復魔法のおかげか、ベビードラゴンの表情がいく分か和らいだように感じる。マリアは触れるかどうかくらいの優しさでゆっくりと左手の人差し指をベビードラゴンの頭に添わせた。滑らかな毛が指の先をすべっていく。
少し長めの詠唱をして、左手をベビードラゴンから離した。息に乱れはない。大丈夫そうだ。
「キュア、やめちゃうんですか?」
ヨシュアの額に汗が浮いている。洞穴は保温効果が高いようだ。
「リジェネに変えたわ。継続的に体力を回復する魔法よ」
マリアはベビードラゴンのそばを離れると、カバンからお椀を取り出し、そばにあったカゴから赤い実を10個ほどその中に入れる。あたりを見回すと、ヨシュアの腰に目を止めた。
「ねえ、ヨシュア。お願いがあるんだけど」
「大体予想がついたんですが、俺の剣を使おうとしています?」
「話が早いわ。すこーし、貸してくれる? ちょっと赤くなるかもしれないけど」
「剣の柄が、ですよね。ちょっと聞いてほしいんですが、この剣は俺のおじいちゃんが……って言ってる間に取ってますよね!」
ライトの玉に向かってあげている手を下ろせないヨシュアは、カチャカチャと剣を外すマリアに声をあげる。
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