野良猫のような少年

3/8
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「おい。ババァ、」 「…ん、…………」 腕に食い込む程に爪を立て、身体を力一杯に揺さぶる。すると、切れ長の紅眼がうっすらと開き、少年を嫌そうに睨んだ。 けれど、少年に敬遠なんてものを察する能力は皆無で。 「腹減った。ババァ、起きろ。腹減った」 「っ…、うっさいっ… 私は疲れてんの。寝かせな!」 当たり前の欲求を訴えれば、返ってくるのは暴言と、暴力。少年はかれこれ、三日。食事と言う食事をしていない。 だがこれも、少年にとっては、よくある日常。 当たり前の日々、風景。 これ以上、女を怒らせてはならない。次は、男が出てくるから。 少年にはそんな認識しかなく、結局。外に出、食料探し。金もない、力もない、頭脳もない。 あるのは、家から持ち出した鋏と、小型の折り畳みナイフだけ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!