2.1話 《2013年 2月14日》

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オレはもうバイクのレーサーに戻れない、そう言われたと泣いていた。 しかし父さんは諦めなかった。 諦めずに1年後治療を終えレーサーに戻ったが、シビアなアクセルワークが治った右手では今までの様には行えず、タイムは事故する前程は出ず、結果が出ない父さんの収入は減り、生活は日に日に貧乏になっていった。 それでも諦めきれなかった父さん。 母さんもパートとしてレーサーに復帰した父さんを支えるつもりでいた。 まだだ。まだ。 家族のみんながそう思っていた時、幼稚園だった弟のシゲキが倒れた。 心臓疾患だった。 次倒れたらもう命の保証は無い!移植手術が必要だと言われ父さんは賞金が少ないレーサーからそのスポンサーだった会社でレーサーじゃない仕事をする様に転職をした。 給料が倍近く違ったからだと思う。 あんなに、事故した時レーサーを辞めなきゃいけないと泣いた父さんが、レーサーを辞めてしまった。 弟は今登録は済ませているが移植手術の順番待ちだ。 運よく回ってくる保証がないのもわかっている。 だから海外移植を考えていた。 そんなレーサーをやめた父さんがある日NSR50と言うレーサータイプの50ccのバイクを2台買って来た。 そしてオレに言った。 おまえがレーサーになってみないか?     
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