叶うはずのない恋

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翌日の放課後、十文字くんに言われるままに図書室で来週に迫った期末テストの勉強を一緒にしていた。 そんな十文字くんの横顔を見て、少し前の事を思い出していた。 十文字くんは覚えてないかもしれないけど、席替えで私が十文字くんの隣になった時、周りの女子たちがこぞって私に 、席を代えてくれと頼んできた。 その様子を見兼ねた十文字くんが。 『これは公平に決めた席替えなんだから、従うべきなんじゃないのかな』 と女子たちを宥めたのだ。 何ともない当たり前の言葉だし。 例え、誰が十文字くんの隣だったとしても十文字くんは同じ事を言ったと分かるけど、だけど、それでも私にとっては嬉しい出来事だった。 「何をボーッとしてる?」 十文字くんの声で我に返る。 「全然進んでないじゃないか」 私の数学の問題集の解答ページが埋まってないのを見て、深々とタメ息を吐いてきた。 図書室には何人かの生徒がいたが、幸い私たちの周りには誰もいなかったので、小声で話していれば私たちの会話は誰にも聞こえない。 「………私数学苦手なんです…」 成績優秀な十文字と比べれば私には難しい問題ばかり。 「どこが分からない?」 隣の十文字くんが私の問題集を覗き込んでくるから、腕が触れてドキドキが止まらなくなる。 こんな、こんな至近距離ヤバイでしょう? 「…問4の問、問題です」 声が震えてる。 しばらく、その問題を見ていた十文字くんが小さく吐息を吐いて。 「こんな問題も分からないのか?このぐらい自分で考えろ」 教えてくれるのでは無いかと言う淡い期待を見事に打ち砕く言葉が放たれた。 私が勝手に想像していた優しい王子様だと思っていた十文字くん像が崩れてゆく。 「あれ?美咲、お前が勉強?」 不意に上から声を掛けられたので、見上げるとそこにいたのは、背が高く細身でありながら、決して貧弱ではない体型にそんな高身長でありながら、甘いルックスの小顔の男子生徒だった。 「千尋くん?」 「前原先輩」 私と十文字くんの声が重なり、驚いて十文字くんを見ると彼もこっちを見ていた。 ああ、そうか、千尋くんは十文字くんと同じバスケ部だったっけ。 前原千尋、私より1つ上の中学三年生。
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