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そして、僕は恨めしげに空を見上げた。
上空には、僕と同じカモ達が悠々と自由に大空を飛んでいくのが見える。
何で・・・僕らはこんな目に逢うんだ・・・?!
干拓沼にあるレンコン栽培のハス田を、ただ飛んでいただけだ。
まさかこんなところに、防鳥網に張ってあったとは・・・
迂闊だったとしか言いようがない・・・
僕にはこの網が憎い。
僕の翼と脚を雁字搦めにして、飛べなくした網が憎い。
何故、ここに網が張ってあったのか?
人間か僕を凝らしめる為?
僕は何をした?
別に僕は、レンコンなんか食べに来た訳ではない。
人間の物を失敬する事なんか、そんな卑しい事なんか微塵も考えていないのに・・・
そうだよ・・・!!
人間どもは、『鳥』が大嫌いなんだ!!
存在だけでも厚かましい『鳥』を根絶やしにしたいんだ!!
チクショウ!!チクショウ!!チクショウ!!チクショウ!!
ぐるるる・・・きゅるるる・・・
お腹すいた・・・
僕は網に引っ掛かってから、何も食べてない・・・
お腹すいた・・・
コンナ姿勢で僕は何も食べられないし・・・
そうさ・・・僕は此処で人間にここでラチられて何も飲まず食わずに、餓死するだけだ・・・
人間はそれを狙ってるんだ・・・
人間は憎たらしい『鳥』を根絶させたいに違いない・・・
チクショウー!!人間フザケンナー!!チクショウー!!!チクショウー!!!チクショウ!!!
ここから!!ここから!!抜け出してやる!!
ぐぐっ!!ぐぐっ!!ぐぐっ!!きゅぅぅぅ!!がぁっ!!ぐぐっ!!ぐぐっ!!ぐぐっ!!ぐぐっ!!きゅぅぅぅ!!がぁっ!!ぐぐっ!!
痛いっ!!痛いっ!!痛いっ!!痛いっ!!
駄目だ・・・どんなにもがいても、雁字搦めの翼と脚が痛くて網から逃れる事が出来ねぇ!!
死ぬんだ・・・やっぱり僕はここで死ぬんだ・・・
「カロさん・・・」
その声は・・・!!ニド!!無事か?!
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