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そんな頃の話なんですがね、
あるお偉いさんとこで後継ぎの子供が奇妙な病になったってんで
医者が呼ばれたんですが…
『どんだけ食っても腹がふくれない』ってな
訳わからん事にはどんな医者も打つ手無し。
『こりゃ、祟りか呪いかどっちかだろう』と
その手の事が専門の坊主探して西へ東へ…。
…で、全国の寺を探し廻って使用人が行き着いたのが
『満腹寺』ってお寺。
『ここならイケる!』と、とりあえず寺の坊主全員、
お屋敷に拉致って来ちゃった。
いきなり来た一団にこれまたいきなり拉致られた坊主たち。
事の次第を聞いて…
『こりゃ、たんまりお布施取れるぞ』ってな感じで
祈祷をしようとしはじめたんですが…
…連れて来たのが全部修行始めたばかりの坊主だけだったんで、
やり方が全然わからない。
でも引き受けたからにはやらなきゃならないんですよ、
なんせお偉いさん相手だから首打たれかねないもんで。
仕方ないんで見よう見まねで適当に祈祷しちゃったら…
とれが効いたのか子供の『空腹感』がとれちゃった。
お布施たんまり受け取った坊主たち。
お寺まで戻ってから即座に大宴会モードに移行。
飲めや食えやの大騒ぎ…
のはずなんだがみんなひたすら食いまくる。
お布施でもらった物全て食ったけど…
それでも全員
『は、腹減った~!』『く、食い物~!』と
宴会モードからゾンビモードに移行しちゃった。
何も無いから畳から柱から障子からなにからなにまで
かぶり付き。
お寺まで全部食べちゃったけど飢えは収まらない。
しかもお寺ごと食べちゃったんで…重くて動けない。
効いた祈祷をやろうとしても適当にしたんで覚えてない訳で…
…まさにどうしようもない。
そのうち空腹極まってみんな朦朧としてきて…
ぶっ倒れてそのままあの世に…
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