ベテルギウス

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 ーーメールが返ってこない。最後に千華から来たメールの日付を何度も確認しては、深くため息をつく。もうすぐ二週間。さすがにおかしい。いくら縦にスワイプして更新してみても、何の変化も起こらないスマホの画面を睨みつける。  一体、千華はどうしているのだろう。そして、僕はどうすればいいのだろう。  彼女はこのまま、僕からフェードアウトしようと思っているのだろうか。やっぱり遠距離恋愛なんて僕らには無理だったのだろうか。  千華の気持ちがすでに僕から離れているのなら、きっとそれは、もうどうしようもないことなのかもしれない。  でも、それならちゃんとケジメをつけたい。そこだけは譲りたくない。  もうすぐ夏休み。千華に会いに行こう。いっそ知らない男と歩いているところでも見てやろう。そして後ろから声をかけてやるんだ。『久しぶり。元気そうだな』って。……さすがにそれは趣味が悪いかな。  自虐的な笑みを浮かべながら、僕は荷物を旅行鞄に詰め始めた。  
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