事件編

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「麗、目が覚めたのね!」 「良かったぁ!」 病室に来た両親は、私の姿を見て安心したようで抱きついてきた。 「お母さん、お父さん…。」 「交通事故にあったって聞いたときはもう、ダメかと思って…。」 お母さんは、泣いていた。 「しかも、1週間も目が覚めなくて母さんずっと寝てなかったんだ。」 普段、涙なんて見せないお父さんまで泣いていた。 それを見て、どれだけ自分が心配をかけたのか理解した。 「心配かけて、ごめんなさい。」 思い出せないが、きっと、デート中に事故にあったのだろう。 …ということは、彼も事故に巻き込まれた? 「ねぇ、彼は? 彼は無事なの?」 私が聞くと両親は困った顔をして黙ってしまった。 「おじさん、おばさん。その事は、私から話します。」 そう言って病室に入ってきたのは、親友の友美(ともみ)だった。手には、花を持っていたのでお見舞いに来てくれたみたい。 お母さんは友美にお願いね、というように頭を下げて帰っていった。 「麗が目覚めてよかったわ。」 友美は、花を花瓶に入れながらいう。 心配してくれたのは嬉しかったが、花より彼のことを聞きたかった。 「ねぇ、あっくんはどうなったの?」 あっくんは、私の彼氏、篤志(あつし)のことだ。 私たちは、あっくん、うーちゃんと呼び合うほどのラブラブだった。 友美は私の握りしめた。 「麗、落ちついて聞いてね。篤志くんは、亡くなったのよ。」
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