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私たち2人の探偵活動が本格的に動いたのは、私の退院後だった。
それまでは友美は、ニュースや新聞などで情報を集め、私は、警察から事情聴取のようなことをされつつ情報を収集していた。
まず、私たちが向かったのは事件現場である彼のアパートである。
刑事でも現場100回っていうもんね!という友美の考えである。
KEEP_OUTの黄色テープがあったり、警察官がいて入れないと思ったが、そんなことなくすんなり入れた。
部屋はあっくんはいた頃のままで、死んでしまったなんて信じられない。
けれど、荒らされた状態を見ると、ここが事件現場だということを実感する。
「ここ見てなにか思い出しそう?」
「逆に思い出したくない思いが強い…。」
とりあえず、私たちは記憶を呼び覚ますようなものがないか探し始めた。
骨折した左腕のせいで探しづらい。
その様子を見た友美が言ってきた。
「左利きなのに大丈夫?」
「私は、両利きだから平気。」
それを聞いた友美は、ふと思い出したように言った。
「そういえば、犯人は右利きらしいよ?」
「そうなんだ。確か…凶器は包丁で、あっくんと私の指紋しかでなかったみたい。警察が言ってた。」
「…犯人誰なんだろうね。」
あっくんを殺した人は、誰なのかな。
あっくんの部屋を探すと出てくるのは思い出の品。
2人で撮った写真、お揃いのマグカップ。
探せば探すほど、辛くなる。
けれど、事件のことは思い出せない。
それを見かねた友美が今日は終わりしようと言い出し、今日はお開きとなった。
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