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学校が終わると、部活にも入っていない三人は喫茶店で飲み物を持ち帰り、そのまま朝霞の森へと足を運んだ。
朝霞の森は森と呼ぶには少し木が足りていないが、広大な敷地であり市民の憩いの場という面では森のような場所なのかもしれない。
しかしこの時期のこの時間ともなれば辺りは暗くなり、公園内に子供の姿は見受けられず広大な敷地は一層に広く感じられ、敷地の周りを覆うように並べられた木と、街灯の少なさも相まって不気味な雰囲気が漂っていた。
「あたしここ来るの初めてだわー。森というよりもただの広場ね」
「私は何度か来たけど、なかなか入る機会ってないのよね。登下校で通る道だけども」
入り口には朝霞の森の概要が書かれた看板が立てられている。憲章と細かなルールが縦に書かれてあり、その横に案内図、またその横には広場の掲示板が記載されていた。
「ルールってこれだけ?」
「公園でもここまで大雑把じゃないわね」
そこに記載されていたルールは大まかに、他の利用者に迷惑をかけないようにする事、決められたエリア内で決められた遊びをする事、申請が必要な遊びは申請をする事の三点であった。
時刻は十六時。まだ時間には少し早いが、公園の端にあるトレーラーハウスの中を見ることにした。トレーラーハウスの外見は『誰もが遊びの主人公』と壁面に書かれており、その右上には太陽の絵が描かれていた。
トレーラーハウスの入口の手前には、木で出来た五段の階段がありそれを上って桃が透明なガラスの戸に手を掛けた。
「開けるよー」
桃は何の躊躇もなしに勢いよく引き戸を開いた。
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